かつら発動機
かつら発動機
かなり昔、同型機を使って稲脱穀をしていましたので、つい懐かしくなって数年前に買ってしまいました。
写真に撮ると綺麗に見えます。
ガソリンで始動してエンジン(発動機と言います)が暖まったら灯油に切り替えます。
此の形式は発動機と呼び、小型のエンジンは原動機で、モーターは電動機と言っていました。
このかつら発動機が出回った頃から小型のシバウラのエンジン(青と緑の中間色で微妙な色)が出回って、耕運機(ガーデントラクター)が農家に少しずつ入ってきたと思います。
三菱のマークが輝かしい。再塗装していないと思います。
出力(馬力)は小さいが、重い(質量・慣性モーメントの大きい)弾み車で馬力以上の仕事が出来ます。
何時も最大負荷が掛かり続ける作業は有りません。軽負荷の時弾み車に運動エネルギー(回転運動のエネルギー)1/2(Iω²) として蓄えられる。
I:慣性モーメント、ω:角速度
水冷エンジンで上の網から水を入れます。
蒸発して案外早く水が無くなります。
時々バケツで補水します。
オーバーヘッドカムです。
カムが外に出ています。
此が動いて見えるのが子供の頃(安保闘争より可成り前)は嬉しかった。
可動部分に時々給油します。油差し(金属製)を使います。底を「ペコ」と押します。
勿論単気筒です。
取っ手の下に見えるダイヤルはガソリンのバルブです。
其の下の楕円形はキャブレターです。
中央のナットの付いたネジ(ボルト)がチョークレバーです。
始動時灯油バルブを閉め、ガソリンバルブを開け、チョークレバーを引き乍ら弾み車を圧縮点前で半回転程正逆転を繰り返します。此でガソリンが吸入されます。チョークレバーから手を離して、勢いよく回転させれば始動します。
うまく行かない時はガソリンを止めデコンプダイヤルを開け、空転させればガソリンが燃焼室から抜けます。(燃料吸い込みすぎが解消できます。)
コードが繋がった部品は点火器(マグネトー)です。
点火時期の制御は何とも言えぬ絡繰りです。
「かつら発動機J1型」其の当時はよく使われて彼方此方に有った機種です。
左がアクセルのダイヤル、中央下が灯油ダイヤル、右上がシリンダーデコンプダイヤルです。
アクセルのダイヤルと灯油ダイヤル
デコンプダイヤル
ガソリンは最下部黒いパイプが付いた四角の容器に入れます。
灯油は上の大きなタンクに入れます。
古い物でも写真に撮ると光っている。
圧縮比が小さく回転数も低いですから燃料は純度の低い物でも動きます。
排気筒が何とも言えない形です。
中央が冷却水抜きコックです。作業終了後冷えてから開けて水を抜きます。
運転中の音が何とも言えない懐かしい音です。
久しぶりに動かしました。手順通りの操作で「あっけなく」始動しました。
簡単に動きすぎて面白く有りませんでした。
大学生の頃、父が同型機を廃品回収さんから買い取って「使える様にして。」と言われて点検しました。
其の時も簡単に動き出して、稲脱穀に数年使い続けた記憶があります。
当時でさえ通りかかる人が懐かしがる「発動機」でした。
併し、私が高齢になりつつ有りますので、倉庫整理の一つでヤフオク出品中です。
2020年9月末に落札されて今は手元に有りません。